【税理士が解説】決算書作成のメリット・費用相場と融資対策

「事業の決算期が近づいているが、決算書の作成を税理士に依頼すべきか悩んでいる」
「税理士に決算書作成だけをスポットでお願いした場合、費用相場はどれくらいなのだろうか」
「一般的な会社と福祉事業所(社会福祉法人・NPO等)で、決算書作成に何か違いはあるのだろうか」

会社経営や個人事業主の運営、さらには福祉事業所の経営において、正確で信頼性の高い「決算書」を作成することは避けて通れない最重要課題の一つです。

決算書は単に「税金を計算して税務署へ提出するためだけ」の書類ではありません。金融機関(銀行)からの融資獲得、行政への提出(実地指導・運営指導対策)、さらには取引先や利用者様からの信頼確保において極めて重要な役割を果たしています。

本記事では、プロの税理士の視点から
「決算書を税理士に依頼するメリット」
「費用相場」「自作との違い」
「銀行融資や福祉事業特有の決算ポイント」まで徹底的に解説します。
ぜひ貴社の決算・財務対策にお役立てください。

目次

1. 決算書(財務諸表)とは?確定申告との決定的な違い

実務においては「決算書」と「確定申告書」という言葉が混同して使われるケースが多々見られます。
しかし、この2つは書類を作成する目的や主な提出先、記載内容が根本的に異なります

決算書(正式名称:財務諸表)とは、企業や事業所が一会計期間(通常は1年間)において「どれくらい儲かったのか」「どれくらいの資産や負債を抱えているのか」といった経営成績と財政状態を確定させ、関係者に開示するための書類一式を指します。

決算書と確定申告書の比較一覧

項目決算書(財務諸表)確定申告書
主な目的一期間の経営成績・財政状態の確定および開示納付すべき税金(法人税・所得税等)の計算と申告
主な提出先税務署、株主、金融機関(銀行)、行政機関など税務署
構成する主な書類貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、株主資本等変動計算書など法人税申告書、消費税申告書、地方税申告書など
作成の手順帳簿(仕訳)を集計・整理して最初に作成する完成した「決算書」をもとに税務調整を行って作成する
作成期限決算期末から原則2ヶ月以内(申告期限まで)決算期末から原則2ヶ月以内(※延長特例あり)

表からも分かる通り、確定申告書を作成するためには、その前提として正確な決算書が仕上がっていなければなりません。
つまり、決算書はすべての税務申告および財務判断の土台となる最も重要な書類なのです。

もし決算書の作成工程で誤り(売上や経費の計上時期のズレなど)があると、その後の税額計算が狂ってしまうだけでなく、税務調査でのペナルティや銀行からの信用失墜に直結してしまいます。

2. 決算書を構成する主要な書類と見るべきポイント

「決算書」は1枚の書類ではなく、会社の財務状態や経営成績を多角的に表す複数の書類で構成されています。
その中でも特に重要とされるのが「財務三表」をはじめとする以下の書類です。

① 貸借対照表(B/S:Balance Sheet)

貸借対照表は、決算日時点における会社の財政状態(資産・負債・純資産のバランス)を表す書類です。

資産の部:現金・預金、売掛金、商品在庫、不動産など「会社が保有する財産」
負債の部:買掛金、短期・長期借入金など「将来返済しなければならない負債」
純資産の部:資本金やこれまでの利益の蓄積(繰越利益余剰金)など「返済不要の自己資本」

「資産 = 負債 + 純資産」の式が必ず成り立ち、純資産がプラスであれば健康的、純資産がマイナス(債務超過)になっている場合は経営改善が必要と判断されます。

② 損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)

損益計算書は、一会計期間において「どれだけの収入があり、どれだけの費用がかかり、最終的にいくら儲かったのか」という経営成績を表す書類です。
損益計算書では、以下の5つの利益段階に分けて計算を行います。

1. 売上総利益(粗利益):売上高 - 売上原価
2. 営業利益:売上総利益 - 販売費及び一般管理費(本業の稼ぐ力)
3. 経常利益:営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用(事業全体での通常収益力)
4. 税引前当期純利益:経常利益 + 特別利益 - 特別損失
5. 当期純利益:税引前当期純利益 - 法人税等(最終的に残った利益)

③ 株主資本等変動計算書(S/S)および勘定科目内訳明細書

貸借対照表の純資産の部が1年間でどのように変動したかを示す「株主資本等変動計算書」に加え、税務申告時には各勘定科目(預金、売掛金、買掛金、役員借入金など)の詳細な内訳を記載した「勘定科目内訳明細書」を添付します。金融機関や税務署は、この内訳書まで非常に細かくチェックしています。

3. 決算書作成を税理士に依頼する4つの大きなメリット

クラウド会計ソフトの普及により、日々の記帳自体は事業者自身で行いやすくなりました。
しかし、最終的な「決算書の作成」および「確定申告」については、今なお多くの経営者が税理士へ依頼しています。
その主なメリットは以下の4点です。

メリット1:複雑な税法・会計基準に基づいた正確な処理ができる

期末の決算処理には、日々の帳簿入力とは異なる高度な専門知識が求められます。たとえば、固定資産の減価償却計算、未払金・前払費用の経過勘定処理、棚卸資産の評価基準、引当金の計上などです。
これらを自己流で処理すると、売り上げや経費の計上時期にズレが生じ、後の税務調査で「意図的な売上除外」「経費の過大計上」と判定されて追徴課税(重加算税や延滞税)が課されるリスクが高まります。

メリット2:適正かつ合法的な節税提案を受けられる

ただ数字を正しく集計するだけでなく、各種税制優遇措置(中小企業投資促進税制や賃上げ促進税制など)を適用して税負担を適正に抑える提案を受けられる点も税理士の強みです。知識がないまま決算を行うと、本来使えたはずの特例や控除を見落とし、払う必要のない税金を余分に納めてしまう損につながります。

メリット3:金融機関(銀行)や行政からの信頼度が飛躍的に高まる

税理士が作成・チェックし、署名・捺印を添えた決算書は「第三者である専門家が客観的に検証した信頼できる書類」として評価されます。
さらに、税理士法第33条の2に基づく「書面添付制度」を活用することで、税理士が計算や事前指導の内容を保証するため、銀行融資の審査がスムーズになり、税務調査の実施割合を減らせる可能性が高まります。

メリット4:本業に集中するための貴重な時間を確保できる

決算書の作成および申告書の作成を自分で一から行う場合、法的な確認や修正作業を含めて数十時間以上の膨大な時間が奪われます。
その時間を売上獲得や顧客対応、スタッフ育成といった本業の経営判断に集中させることができるため、結果的に事業全体の成長速度を高めることができます。

4. 「決算書のみ(スポット依頼)」と「顧問契約」の費用・相場比較

税理士を決算のパートナーとして活用する場合、大きく分けて「決算申告のみ(スポット依頼)」「年間顧問契約」の2つの契約スタイルが存在します。
それぞれの費用相場と特徴は以下の通りです。

契約形態費用の目安(年間総額)メリットデメリット・注意点
決算申告のみ(スポット)10万円 ~ 20万円程度年間の固定費・税理士費用を最小限に抑えられる期中のリアルタイムな節税提案や資金繰り相談が受けられない
年間顧問契約 + 決算対応30万円 ~ 60万円以上
(月額2〜4万円 + 決算料)
月次の試算表作成、節税対策、融資サポート、税務調査対応まで一貫支援毎月の固定費用(顧問料)が発生する

※費用は事業者様の年商規模、年間仕訳数、記帳代行(領収書からのデータ入力代行)の有無によって変動します。

スポット依頼(決算のみ)が適している事業者

・毎月の売上・経費の入力(記帳作業)が自社内で完璧に完了している
・事業規模が小さく、期中の税務相談や節税対策を必要としていない
・とにかく予算を抑え、最低限の税務申告だけをプロに任せたい

年間顧問契約が適している事業者

・期末を迎える前にしっかりと節税対策を行い、手元に残る資金を最大化したい
・毎月の試算表をもとに財務状況を把握し、タイムリーな経営判断を行いたい
・今後、銀行からの事業融資や事業拡大を積極的に目指している

5. 銀行融資を引き出す「評価される決算書」のチェックポイント

金融機関から融資(創業融資・追加融資)を受ける際、融資担当者が審査で最も重要視するのが「提出された決算書の内容」です。
単に赤字か黒字かという点だけでなく、以下のような項目が精査されます。

① 実質的な債務超過に陥っていないか(貸借対照表)

貸借対照表の「純資産の部」がマイナス(債務超過)になっている場合、融資審査は極めて厳しくなります。また、形式上はプラスであっても、回収の見込みがない「不良売掛金」や、使途不明な「仮払金」「役員貸付金」が資産の部に計上されていると、実質的な債務超過とみなされ評価が下がります。

② 本業で確実に利益が出ているか(損益計算書)

銀行が最重要視するのは「返済原資となる利益を本業で生み出せているか」です。特別利益(不用品の売却益など)によって最終利益だけを黒字に保っていても高い評価は得られません。「営業利益」および「経常利益」がしっかりとプラスで推移しているかがポイントとなります。

③ 勘定科目内訳明細書の不審点の有無

決算書に添付される内訳書(売掛金・買掛金・借入金・役員報酬など)の記載が曖昧であったり、実態と乖離していると、銀行からの不信感につながります。融資に精通した税理士は、銀行側が審査しやすい透明性の高い決算書・内訳書を作成します。

6. 【障害福祉事業所様向け】福祉特有の会計・決算書の留意点

当事務所(全祐貴税理士事務所)が特に力を入れている障害福祉事業(就労継続支援A型・B型、児童発達支援、放課後等デイサービス、共同生活援助(グループホーム)など)においては、一般的な営利企業とは異なる独自の会計ルールや行政対応が存在します。

① 法人形態に応じた会計基準の厳格な遵守

福祉事業を運営する法人形態には、株式会社・合同会社のほか、社会福祉法人やNPO法人など多様な選択肢があります。社会福祉法人であれば「社会福祉法人会計基準」、NPO法人であれば「NPO法人会計基準」に従って正確に計算書類を作成・公開しなければなりません。

② 処遇改善加算・実績報告書と決算書の数値の一致

福祉事業所において経営の根幹をなす「福祉等職員等処遇改善加算」などは、毎年行政へ実績報告書を提出します。この実績報告書に記載する人件費の数値と、確定した決算書(損益計算書等)の人件費(給料手当・法定福利費)の数値は、当然ながら厳密に合致していなければなりません。数値にズレや不整合がある場合、行政による実地指導(運営指導)で厳しい指摘を受け、最悪の場合は加算の返還命令や指定取り消しなどの重大なリスクに直結します。

③ 区分会計とWAMネットへの計算書類提出

複数の事業所(例:就労支援B型と放課後等デイサービス)を兼業している場合、事業ごとの収支(区分会計)を明確に分けて把握する必要があります。また、財務情報の公表制度に基づき、福祉医療機構(WAMネット)等への届出書類作成も求められるため、福祉特有の制度設計に熟知した税理士のサポートが不可欠です。

7. 税理士へ決算書作成を依頼する際の流れ・スケジュール

実際に税理士へ決算書の作成や確定申告を依頼する場合の一般的な手順は以下の通りです。決算期末の直前ではなく、余裕を持って準備を進めることが成功の鍵となります。

【Step 1】お問い合わせ・無料相談
まずはお問合せフォームや電話にて、事業規模、現在の記帳状況(自社で入力済みか、記帳代行希望か)、直近の決算期などをご相談ください。当事務所では初回相談を無料で承っております。

【Step 2】必要資料のご準備・ご提出
決算手続きに必要な資料(通帳コピー、領収書・レシート、売上・仕入の請求書、賃貸借契約書、借入金の返済予定表など)をご提出いただきます。遠方のお客様でも郵送や各種クラウドツールで簡単に共有が可能です。

【Step 3】決算整理作業・試算
税理士側で日々の帳簿データを精査し、棚卸資産の確認、減価償却費の計上、未払金・売掛金の整理といった決算固有の整理を行います。

【Step 4】決算書ドラフトの確認・事前打ち合わせ
作成された決算書・税額計算の案をもとに、経営者様へ内容を分かりやすくご説明します。税額の確認だけでなく、来期の経営方針や資金繰りについてのアドバイスも行います。

【Step 5】電子申告(e-Tax)による提出・税金の納付
経営者様の最終確認・承認をいただいた後、税理士が代理で税務署や自治体へ電子申告(e-Tax・eLTAX)を行います。届いた納付書に沿って指定の期日までに税金を納付すれば完了です。

8. 決算書作成でよくある質問(FAQ)

決算書の作成や税理士へのご依頼に関して、お客様から寄せられる代表的なご質問と回答をまとめました。

Q1. 決算期を過ぎてしまった(申告期限ギリギリの)状態ですが、今からでも対応してもらえますか?
A1. はい、対応可能です。申告期限直前や、すでに期限を過ぎてしまった「過年度の無申告」でお困りの場合でも、迅速に帳簿の整理・申告手続きを進めさせていただきます。無申告加算税や延滞税といったペナルティを最小限に抑えるためにも、まずは一刻も早くご相談ください。

Q2. 遠方からの相談ですが、オンラインのみで決算完了まで対応できますか?
A2. もちろん対応可能です。当事務所ではZoomやSkype等のオンライン会議ツール、メール、クラウド会計をフル活用しております。全国どこからでも、対面と変わらない手厚いサポートと迅速なコミュニケーションで決算作業を完結できます。

Q3. 領収書やレシートが整理できておらずバラバラなのですが、そのまま渡しても大丈夫ですか?
A3. はい、全く問題ありません。当事務所では「記帳代行(帳簿入力の丸投げ代行)」サービスも承っております。領収書や通帳のコピーをそのままお送りいただければ、専門スタッフが正確にデータ化し、決算書まで作成いたします。

Q4. 決算書作成だけ(スポット)と顧問契約、どちらを選べばいいかわかりません。
A4. 事業規模や日々の記帳状況、将来の融資希望などをお伺いした上で、貴社にとって最もコストパフォーマンスが良い方法をご提案します。無理に顧問契約をおすすめすることは一切ございませんのでご安心ください。

9. 正確な決算書作成は「全祐貴税理士事務所」にお任せください

決算書は、単に1年に1度税務署へ提出するための事務書類ではありません。
貴社の1年間の努力を成果として証明し、銀行融資や行政・取引先からの信頼を獲得して事業を継続発展させるための「経営のコンパス」です。

全祐貴税理士事務所では、一般法人様・個人事業主様の決算・確定申告サポートをはじめ、障害福祉事業所様特有の会計・実地指導対策・加算対応まで一貫した専門サポートを全国対応でご提供しております。

「正しく節税し、手元に残る資金を最大化できる決算書を作りたい」
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どのようなお悩みやお困りごとでもお気軽にご相談ください。丁寧なヒアリングのもと、速やかかつ正確な決算サポートをお約束いたします。

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